肉とグランパーニュ
新約聖書の多くの箇所で、イエスが自分の体と血であると宣言したパンとワインを「感謝して」弟子たちに与えたことが書かれています。 「分け合う」「大きな」をテーマとしたパン[Granpagne](グランパーニュ)と、フランス語で「肉」の意の[Viande](ヴィアンド)の名を併せ持つパン。それが GRANPAGNE VIANDE(グランパーニュ・ヴィアンド)です。

切るほどに官能を呼び起こす
鉄のクランプと木製の板で組合わせた硬く冷たいハモネラに、樹皮のような自然の質感を持つパンを固定された姿はアートのように静かに語りかけてくれます。 のこぎり状の刃のついたブレッドナイフを持ち、パンのクラスト(外皮)にそっとあてがってスライスします。 ナイフがスーっと入っていく感触が指先から腕や肘や肩を通して僕の中に伝わってくるとき「パンではなく、肉を切っている感覚だ」というのを実感できるでしょう。 肉というモティーフは単に食材としての肉という意味だけを取り上げたのではなく、肉感、肌の温かさや息づかい、 そういう日常と官能の間に引かれた境界線にそっと足先を置く背徳感、それがグランパーニュ・ヴィアンドの真骨頂です。

GRANPAGNE VIANDE
グランパーニュ・ヴィアンド
渋谷ヒカリエで行われた自然派ワインの一大イベント「フェスティヴァン」でデビューした時の様子。(1枚目の写真)リアルサイズの「グランパーニュ・ヴィアンド」はこのサイズで約3kg、1スライスずつで約60〜70人でシェアします。 物珍しそうに遠くから眺めていた人が近づいてきて、10m先から見ると肉にしか見えないと驚きの声を上げます。そりゃそうでしょう、こんな得体の知れない物があったら僕だって声を上げます。

牛なのに豚のかたち?
肉のパンだと言っていますが、肉はほとんど使われていません。ローストして香りを出した和牛の脂と乾燥ポルチーニ茸の戻し汁でこねた生地に、 赤ワインで煮込んだ牛ハツ(心臓)、ハツから抜いた血を煮詰めたものを練り込んでいるだけ。これだけで肉の味になります。まさに魔法。 色付けは紅にもと紅麹の色素にハツの血と赤ワイン。四季のグランパーニュの製法で培った着香手法と着色技法で、インスピレーションやアイデアの創造する領域を超えた完成度に到達しました。大袈裟かな。 で、豚の足を模しているのに中身はなぜか牛脂を使っているのはご愛嬌。牛なのに豚の形にしていることについては特に理由はありません。 2枚目の写真は家庭用に開発された小型のヴィアンドと専用のハモネラ。
肉カワイイという新ジャンル
家庭で肉の形をしたパンを楽しむ必要があるのかどうかの問題はさておき、ご家庭でも楽しめるものを用意しました。 通常グランパーニュ・ヴィアンドは3~4kgの重さと600mm×400mm程度の大きさに焼き上げ、 原木1本を60~70人分でシェアしますが、家庭のテーブルスペースには限りがある。 でもやっぱり家庭でもこの感動を味わってもらいたいので、新しく4人~6人でシェアできる600gの小さなサイズを作ることにしました。 サイズが小さくなっても、切り分けた時に現れる内部の赤い肉の質感とブラウンの外皮の肉コントラストは同じ。 オリジナルのハモネラもぞくぞく発売予定です。 肉をパンにして、さらに小さくして、そしてハモネラと共に飾るという「クリエイティブ&ダウンサイジング&デコレーティング 」という狂気が 「肉カワイイ」という新ジャンルを生み出し、家庭の食卓に今までに無い興奮と感動を起こすのでしょう。
ハンギング!&エイジング!
グランパーニュ・ヴィアンドは食卓でのパンのサーブ方法についても新しい提案をおこないます。 市場や精肉店などで「衛生面」「品質保持」のために肉を吊るして保存するスタイルをヒントに吊り下げて保存するパンを考えました。 上部に「プードルの尻尾」と呼ばれる鉤状の構造を持ち、吊り輪型のハモネラのリング部に掛けて保存するのが決まりです。 18世紀フランスのコンコルド広場でさらし者にされるがごとく、食卓の上でパンを吊るして衆人の目の前で晒して楽しむ。 単に吊るしてみたかったというのがスタートですが、スタイルから入るのは文化を成熟させるためには必要なことです。 また、日を追うごとに熟成して味が変わるという特殊な製法を用いていますので、フックで吊るしたまま焼き立てから翌日、翌々日と、時間が立つに連れて風味が枯れて熟成し変化していきます。僕はこれを老いた娼婦のパンと呼んでいます。まさに「ハンギング」(吊るして)して「エイジング」(熟成)するパンなわけです。

未来の肉はパンに変わる?



グランパーニュ・ヴィアンドの革新はパンの新しい流通形態にも及びます。 生鮮食品のパッケージングをパンに取り入れ、料理素材としてのパンの地位を確立するのがこのデザインの目的です。 また、肉の流通方法でパンを流通させるというアート的な要素も付加されているので、皆さまに驚きの目を持って迎え入れられるでしょう。 アートとは言っても「工場生産の食品をプラスチックパックに詰めて流通に乗せるなんて、この資本主義の犬めが。」 というメッセージを内包したコンテンポラリーアートではないので気軽に手に取って下さい。 高級食料品店やスーパーマーケットの精肉コーナーでこのパック詰めのパンと皆さまが出会い、 普段の食卓にカジュアルに取り入れてもらえたら、という僕の思いが叶うことを願っています。
CANOBLEとのシナジー
GASTRONOMIE COSMETIQUE CANOBLE「カノーブル」は、今までにない着想によって生み出された「食のコスメティック」です。甘味・酸味・塩味・苦味・旨味の先にある第六の味覚「香味」や「潤味」を演出する新しい食の感覚を提案します。美しく洗練されたパッケージに包まれたフレーバーたちは、普段の何気ない食卓を華やかにして心躍らせる特別な空間へと変化させてくれるでしょう。ブランド名のCANOBLE(カノーブル)は「官能と高貴」を意味する造語です。


コスメで味を際立たせる。
グランパーニュ・ヴィアンドはステーキを焼くように調理してください。 カノーブル「モイスチャーミスト」(ポルチーニ)をパンの表面が潤うようにまんべんなくスプレーし、 熱したフライパンにパンを並べ、中火〜弱火でじっくりと両面を焼きます。 途中、「モイスチャーミスト」をパンにスプレーしながら焼くとしっとりとした食感に仕上がります。 パンの表面にうっすらと茶色の焼き色がつきはじめたら、片面にカノーブル「パントルクリーム」(ローストファット味)を2cmほど絞り出して塗り、塗った面を下にして再度焼きます。このときトングなどでパンを上から軽く押さえて円を描くようにフライパンにこすりつけながら焼くとクリームが全体にまわって美しい焼き色と風味に仕上がります。
グランパーニュヴィアンドとはパンの製法を用いて肉を再構成するという実験的な食品です。肉の味のするパンではなく、肉を再現しています。肉の持つ食味の構造をパンの生地に着香、着色、味付けし、形状も生ハムを模して肉感を演出しています。開催期間中は四季のグランパーニュ、ライ麦パンも同時販売。会場でお待ちしています。で、おそらくグランパーニュヴィアンドを1週間に渡って販売するのもこれが最初で最後になるかもしれません。この催事を最後に催事出店をしばらくお休みにしたいと考えております。またどこかでお会いできる日を心待ちにしております。みなさまこの機会を逃さずにぜひとも足をお運びくださいませ。
2013年7月3日〜9日
GRANPAGNE VIANDE
in 日本橋三越本店

日本橋三越本店(地下1F食品売場)
〒103-8001東京都中央区日本橋室町1-4-1
TEL. 03(3241)3311
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